現在,東京千代田区にある日比谷公園テニスコートをなくそうという再生整備計画(バリアフリー日比谷公園プロジェクト)が進行しています。
遠方にお住まいの方は,もしかしたら「自分の住んでいるところと関係ないからいいや」「自分は使わないから別にいいや」「どうでもいいから勝手にやってくれ」とお考えかもしれません。
でもちょっと待ってください!
行政組織には前例踏襲主義という考え方があります。
行政関係の論文に目を通したことがある方や,あるいは行政機関の窓口で「前例がないのでできません」と言われた経験のある方であればご存知でしょう。
東京のど真ん中,千代田区の日比谷公園で「テニスコートを潰して何か箱物を建設する」といった前例を許すと,次は貴方の地域のテニスコートで同じことが行われていくかもしれません。
ところで今,日比谷公園テニスコートを潰して何をしようとしているかご存知でしょうか。
建設局 公園計画担当部長 根来千秋氏は下記のように述べています。
日比谷公園再生整備計画におきましては、都民の多様なニーズに応えていくため、テニス等の各種球技が楽しめる広場を創出していくこととしております。
つまり,テニスコートを潰して,なにやらよくわからない「都民の多様なニーズ」に応えるための何かをつくろうとしています。
ちなみに日比谷公園テニスコートの利用率について調査した都議会議員は下記のように述べています。
(日比谷公園の)テニスコートの利用率は休日で100%、平日でも90%以上
すなわち,現実に眼の前に確実にあるテニスコートへのニーズを蔑ろにし,あるかどうかもわからない他競技のニーズへ応えるためにテニスコートを減らそうというのです。
ちなみに,「公園計画担当部長 根来千秋氏」のいう日比谷公園という場所に対する「都民の多様なニーズ」について,きちんとした統計的価値のある調査・アンケート結果は見つかりませんでした。
もしそういったデータやエビデンスもなしに「都民の多様なニーズ」と言っているのであれば,それは妄想と同じです。いえ,妄想ではなく,もしかしたら誰かの利益のためにやろうとしているのかもしれません。
ありもしない「多様なニーズ」のために,現実に眼の前にありデータとして稼働率に現れている都民のニーズを無視しないでください。
それとも特定の誰かの利益や金が絡んだ案件なのでしょうか?
さて,話を戻しますと,行政機関は前例踏襲主義を意思決定の原理とする傾向があります。
東京のど真ん中,千代田区でなされた行政機関の前例は,あっという間に他の地域に影響を及ぼすでしょう。
貴方がよく使うテニスコートもあっという間に「多様なニーズ」とやらのために奇妙な体育館に変貌するでしょう。
貴方の住む地域でも,ありもしない「市民の多様なニーズ」をでっち上げられ,税金を予算として,テニスコートを潰して「多様性のある箱物」が建設されるのも時間の問題なのです。
この「テニスコートを潰してよくわからない多様性に応じた施設を建設する」といった前例を許してはいけません。
あなたがテニスプレイヤーなら,あなたが都民であっても都民でなかったとしても,この前例に反対する意味があります。
本ページの引用元・参考資料等
都議会環境・建設委員会速記録第七号 令和三年五月三十一日(月曜日)
https://www.gikai.metro.tokyo.lg.jp/record/environmental-construction/2021-07.html